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The スパイ

The スパイ

極秘裏に動く諜報員の役割とは一体?

日曜日の午後に、長女と二人で遊ぶ時間ができた。
と言っても妻の実家で皆が出掛けて、三女が昼寝をしている間だ。

家から持ってきたおもちゃで遊ぼうとせがまれて、二人でおもちゃ遊びをすることに。
普段から遊んでいるプーさんやミニーマウス、My little PONYや謎の犬の人形が素材だ。
いつもなら、姉妹で人形を用いておままごとのような家族の配役を決めて家族を演じながら想像豊かに遊んでいるが、父親である僕と遊ぶ時は設定が違うようだ。
少し大人寄りな内容になっている。

与えられた人形を使ってスパイ、つまり諜報員となって極秘裏に役割を遂行していく遊びのようだ。

長女が選んだのはMy little PONY。僕が選んだのはミニーマウス。
まずはMy little PONYの人形を選んだ長女が進行役だ。

長女
長女

悩み事があったら何でも言って?

House papa
House papa

? 悩み?

「悩みを言って?」とはどういうことだ?
僕もスパイの設定ではないのか?
もはや長女のスタンスは諜報員ではなく、お悩み相談の相談員になっているぞ!

長女
長女

早く悩みを言って。私はスパイなんだから。

House papa
House papa

う〜ん。悩みと言っても何を相談すればいいの?
ミニーマウスもスパイじゃないの?

長女
長女

ミニーちゃんはお母さんで、子供がこの犬なの。

そう言って謎の犬の人形も渡された。
僕が扱うのは母親と子供の設定でスパイに悩みを相談するようだ。
つまり長女の中ではMy little PONYはスパイであることを隠して普段はお悩み相談の相談員なのか?

House papa
House papa

じゃあ、子供が風邪をひいてしまったんで助けてください。

長女
長女

はい、分かりました。ではここで寝てください。薬を飲ませますね。

おおっ〜と!
医者を紹介するとか、病院に連れて行くとかではなく、
相談員かと思ったら実は医者だった設定か!
さすが、子供の遊び方。設定はどうでもいい。とにかく頭を柔らかくするのだ。
もう大人のしがらみは消し去れ。そう、想像で突き進め!

長女
長女

私はスパイです。次はどんな悩みですか?

あらま。自分がスパイであることを公言している!
もはや公になった時点でスパイではない。

いや、待てよ。
極秘である諜報員自らが、スパイであることをあからさまに公言するような人間は、信用が出来ない。
つまりスパイであるわけがないとすぐに見破られる。誰もスパイとは思うことがなくなる。
「私の職業はスパイです」ハハハ。なんて人はスパイであるわけがない。
この不信感を逆手にとって安心感を与えておいて、実は本当にスパイという設定だったらこの遊びは相当な頭脳戦に突入する。しかも本人は嘘をついているわけではない。
この遊び、奥が深い。。。。

せっかくだから、スパイ遊びっぽくなるような設定を降り注いでみよう。

House papa
House papa

私もスパイなのよ。
実は、何者かに連れて行かれて子供がいなくなったの。
(ミニーマウスなので女役)

すかさず、長女の目をそらして謎の犬の人形を隠した。
どうするスパイ長女。

長女
長女

分かったわ。すぐに探してあげるね。

居なくなった原因や経緯はどうでもいい。
一体何者が何の目的で子供を連れて行ってしまったかなんてどうでもいい。
ミニーマウスもスパイであったことなんてどうでもいい。

とにかく子供を救出するんだスパイ長女。

長女
長女

パパ〜。どこに隠したの?
ヒントちょうだいよ〜。

House papa
House papa

そうきたか、実は、私はミニーマウスではなく悪の組織のボスなのだ!
果たして見つけることはできるかな。
ハッハッハッハ〜

長女
長女

もういいから、どこに隠したの〜!!

せっかく、メチャクチャな設定にも関わらず、スパイ映画っぽく悪役風に盛り上げようとしたのに、効果無し。
仕方なく、隠した謎の犬の隠してある場所を教えた。

長女
長女

今度は、パパがスパイね。
私がプ〜さんと犬を隠すから。

House papa
House papa

え? そうなの?

長女
長女

 10数えるから目隠ししてね。
1、2、3・・・・10

House papa
House papa

もういいか〜い?

長女
長女

ま〜だだよ。

House papa
House papa

もういいか〜い?

長女
長女

いいよ〜。

なぜか、プ〜さんと謎の犬の人形を探すことに。
しかも妻の実家の物が沢山しまってあるところに隠してあるらしい。
これは探すのに時間がかかりそうだ。

色々とかき分け、探しているが見つからない。。。

妻の母親が来て

妻の母
妻の母

何か探し物?

House papa
House papa

あっ、いや別に、だ、大丈夫です。

やばい、このまま探し続けたら、妻の実家を物色していると勘違いされる。
早いところ、行方不明のプ〜さんと謎の犬の人形を探さなくては!

と、そこへ妻の父親が来て

妻の父
妻の父

どうしたの? 探しているものがあれば一緒に探してあげようか?

あ〜、ダメだ。
長女との遊びもここまでかっ!
しかも、当人である長女はしらばっくれている。
まるで本物のスパイのように・・・。

House papa
House papa

妻の両親に
『実は、私スパイです』
と言っても信じてはもらえない・・・。

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